気持ちいい触り方・悪い触り方


 隆章の指が司のアナルをほぐしながら動く。
 司の身体をあちこち愛撫しているうちに、合格と次の段階をする「お許し」が出て、無事にここまでこぎつけた。
 「どう?気持ちいい?」
 普段よりも更に甘い声で囁いた隆章が、中にある指を出し入れする。
 「あ、あっ・・・・、きも・・ちいいっ。」
 言葉どおりヒクンと腰を動かした司が、なんとも可愛らしくいやらしい顔で頷く。
 初めて見る司の無防備な姿に、隆章の顔が情けなく崩れている。
 「こうするといい?」
 慣れてきた司の中を、2本の指でリズミカルに突いてやる。
 「あっ・・、んはっ、おま、えの手、あっ、気持ちいっ・・・。」
 感じるままに素直に声を出す司に、にやけてしまった隆章の手がちょっと止まる。
 「・・・だからって、手ぇ抜いたらぶん殴るぞ。」
 司に上気した頬でギロッと睨まれた隆章が、慌てて司を喜ばせることに集中する。
 イキナリのこの美味しい状況にとまどっている間に、すっかり主導権を取られてしまった隆章だが、ここで司を満足させておかなければ2度と触らせてもらえない。
 やわやわと締めつけるアナルの中を指でこすりながら、勃ちあがっているペニスの先を舌で舐める。
 「んっ、あっ・・・、っん、はぁっ・・。」
 チロチロとカリ首の辺りを舐められて、司が気持ちよさそうにのけぞる。
 ふいに司の中で、隆章が指を軽く曲げた。
 「あっ!?そ、そこ・・・っ。」
 軽く当たっただけの指にアナルがビクビクと締まる。
 「ここ・・・いいんだ?」
 囁いた隆章が、そこへ2本の指をグイグイとこすりつける。
 「あっ、ぁあ・・っ、そこダメ、だ・・っ、ひあっ、隆章ぃ・・っ、」
 イキそうに腰を揺すりながら、隆章の名前を呼ぶ司の口から唾液が伝う。
 後ろだけではイケないだろうと、隆章が司のペニスを咥えてやる。
 「ひっ、イク・・ッ、ああ!」
 その刺激であっけなくイッた司から放たれるモノを飲み干した隆章が顔を上げた。
 「気持ち、よかった?」
 「ん・・・、腰、ぬけそうだけど・・・。」
 そう言った司の可愛さと、これも合格だった事にホッとして笑った隆章が、その頬に軽いキスをする。
 何度かキスしておいて唇にもしようとしたら、司の腕が隆章の身体を押し返した。
 「司?」
 精液を飲んだ口でキスされるのはイヤなのか?と思ったが、そうではなかった。
 「お前も、俺が触ると気持ちいいか?」
 「え、うん。気持ちいいし・・・嬉しい。」
 正直に答えると、司が身体を起こした。
 「じゃあ触る。」
 そう言って司が触ったのは、隆章の天を向いているペニスだった。
 イキナリそこかっと焦った隆章が抵抗する前に、司の睨みが飛んできた。
 「じっとしてろよ。触ってやんねえぞ。」
 それで大人しくなった隆章のペニスを、司の手がにぎって上下に動く。
 「気持ちいいか?」
 「いい・・・。司の手も気持ちいい。」
 今まで見た者はほとんどいないだろう、隆章の上気した顔を見て、司がふっと嬉しそうに笑った。
 「なあ・・・コレ、俺に入ると思うか?」
 「えっ?」
 今日は司の言う事にいちいち驚く隆章が、またもや驚きの声をあげた。
 「痛いのはイヤなんだよなあ・・・。お前、痛くしねえ自信ある?」
 手の中でビンビンになっているペニスと、自分のアナルのサイズを考えながら、司が隆章に問い掛ける。
 「・・・分からない、かも。」
 まさか今日司とSEXするとは思っていなかった為に、アナルセックスに必要な物など用意していない。
 それに、恐らく用意していても、アナルセックス未経験の司だから初めは少々痛がる可能性が高い。
 「じゃ、やめた。」
 司がアッサリと言ってペニスからも手を離してしまった。
 「ここで?これきり?」
 焦った顔で聞いた隆章に司がふき出した。
 「ちげーよ、本番はナシって言ったんだ。」
 「じゃあ・・・。」
 次があるのかと聞いた隆章に司が頷く。
 「当たり前だろ。お前はもっともっと俺を気持ちよくさせる義務があんだからな。」
 そう言われて隆章がプレッシャーを感じながらも、気合を入れて頷いた。
 そして司がとった次の行動に、今日一番の驚きの声をあげた。
 「うわっ。司っ。」
 イキナリ自分のペニスに顔を埋めた司を手で押しとどめる。
 「なんだよ。」
 「そ、そこまでしなくていい。」
 不満そうに顔を上げた司に、慌てて隆章が首をふる。
 「はあ?せっかく人がお返ししてやろうと思ってんのにっ。お前ムカつくっ。」
 ぷうっとムクれた司が、隆章のペニスをバシッと叩いた。
 「ぐっ・・・。」
 そこを殴られると思っていなかった隆章が、痛そうにうめいて腰をひいた。
 その隆章に司が指を突きつけて怒鳴った。
 「てめえ、今から俺に触るの禁止っ。」
 「そ、そんな・・・。」
 隆章が、殺人ビーム視線の欠片もない、すがるような目をして司を見た。
 その碧眼を見ながらちょっと考えた司がこう言った。
 「許してほしかったら、俺の事も一回イカせろ。」
 その提案にうんうんと頷いた隆章が、司を押し倒した。
 さっき愛撫していたから大丈夫だろうと、イキナリ下半身目掛けていこうとした隆章に、素早く司の声がかかる。
 「手ぇ抜いたら許してやんねえぞ、コラ。」
 つまりは、またキスからスタートという事らしい。
 大人しくフェラされていればよかったと思いつつ、しかし楽しげに抱き着いてきた司に幸せを感じつつ、隆章がその身体を抱きしめた。
 ちゅ、ちゅ、と軽く触れるだけのキスをしながら、司の胸に手を這わす。
 さぐりあてた乳首を指でかすめるように愛撫する。
 「ふ・・・、ん・・。」
 ピクッと動いた司の唇を割って舌を差し入れながら、尖ってきたソレをつまんで転がす。
 「ん、ふ・・、んん・・・んぁ・・・。」
 反対の乳首も同じように愛撫すると、キスの合間にもれる司の息が上がっていく。
 「司、気持ちいい?」
 唇を耳へ移動させた隆章が、息を吹き込みながら囁く。
 「ふあ・・っ、あ、気持ちいい・・・、もっと、してくれ、よ・・・。」
 次をねだる司にまた顔を崩しながら、隆章が手を司のペニスに移動させた。
 少し硬くなっているソレを掴むと、やわやわと上下にしごく。
 「あ・・、はっ・・・、お前、の手・・・ふっ・・、ほんと気持ちい・・あっ・・・。」
 隆章を見ながら、司がとろけそうな顔をして声を上げる。
 そんな事を言われては、例え主導権を握られていようが、本番が出来なかろうが、ついつい張りきってしまうのは仕方がないというもの。
 隆章が身体をずらすと司のペニスを咥えて、その感じるところを熱心に愛撫しはじめた。
 「はっ、たか、あっ・・、ぁあっ、んっ、ふぁ・・・っ、」
 隆章の髪を司の手が柔らかく乱す。
 ペニスから口を離した隆章が、自分のひとさし指と中指を唾液でたっぷりと濡らす。
 その指を司のアナルにゆっくりと埋めた。
 「痛くない?」
 さっきまで入れていたから大丈夫だろうとは思うが、触らせてくれなくなっては元も子もない。
 「ん・・・。」
 頷いた司に安心して、指を動かしはじめた。
 司の中を傷つけないように慎重に出し入れさせる。
 「・・っあ、は・・っ、んぁ・・・っ、な、なあ・・・。」
 焦れるような緩やかな快感に、司が隆章にもっと強い快感をねだる。
 「さっきの、とこ・・・。」
 「あれ・・・気に入った?」
 問いかけに素直に頷いた司の中の、感じるポイントへ向けて隆章が指を軽く曲げた。
 「あっ、そ、そこっ!」
 ビクンと大きくのけぞった司が上ずった声を上げた。
 「いっぱい、してあげる。」
 こっちも少し上ずった声で言って、隆章がソコへ当たるように指を突き上げ始めた。
 「う、あっ!き、気持ちイ・・・ッ、ぁああっ、」
 ソコをこするように指が動くたび、司のアナルがビクビクと収縮を繰り返す。
 キツイくらいの締めつけをするその中に、ふと自分のペニスを突っ込みたい衝動に駆られた隆章だったが、今後のために自重した。
 今は司を気持ち良くさせる事を考えなくてはいけない。
 「あぁっ、ひあ・・っ、た、隆章ぃっ、も、イキた・・っ、」
 まだアナルへの刺激だけではイケない司が、前も触ってくれというように、腰を突き出して隆章を挑発する。
 「もうちょっと。」
 もう少し司の喘ぐ顔を見ていたかった隆章がそう言うと、ペニスには触らずますます指を感じるポイントへこすりつける。
 「うあぁっ、やあ・・っ、たかあ、きぃっ、おかし、くなっ!」
 ビクビクと身体を跳ねさせている司の目じりに涙がにじむ。
 「ねが・・っ、も、イカせ・・!」
 「可愛い・・・イカせてあげる、司。」
 切羽詰った声をあげる司に満足したのか、隆章が司のペニスに顔を伏せた。
 今にもはちきれそうなその先を咥えて、舌で転がしてやる。
 「あ!ああ、イクッ!イ・・・ッ!」
 身体中に走った電流のような快感にガマンしきれず司が放つ。
 何度も腰を突き上げて放つ司のソレを、隆章が今度も全て飲み干した。
 「は、はあ・・っ、ぁ・・・ふ・・っ。」
 「・・・司、機嫌直った?」
 放ち終わっても身体をビクビクと細かく震わせていた司を、横に寝転んだ隆章が抱きしめた。
 「ん・・でも、はぁ・・・・。」
 ぐったりと隆章の腕の中に身体を預けた司が、長いため息をついた。
 「な、何?気持ちよくなかった?」
 「んーん、良かった。でも身体動かねえ。お前がいじめるからだぞ。」
 ちょっとすねたように言った司の顔が可愛くて、隆章の顔がにやける。
 「あ、お前反省してないだろ。」
 すかさず突っ込んだ司に、優しく目を細めた隆章がごめんと謝って軽くキスをする。
 「・・・ま、いいや。キスに免じて許してやる。それよりもだ。」
 「ん?」
 起きあがろうとする司に手を貸して、隆章も身体を起こす。
 「ちゃんと言っといたほうがいいよな。俺も、お前の事好きだぞ。」
 「・・・・・。」
 真っ直ぐに見つめながら告白した司に、隆章が無言で赤くなった。
 「てなワケで、明日からも俺を気持ちよくさせろよ。」
 ちょっとテレたように素早く付け足した司が、また隆章の胸の中に身体を預けた。
 「すっごく努力する。」
 真剣にそう言った隆章の手が、司を柔らかく抱きしめた。

 次の日、キャンバスの隅っこで圭二と話している司の元へ、晴れて恋人に昇格した隆章がやってきた。
 「司・・・。」
 「あ、オス。どうした?」
 甘い声で話しかけた隆章に、いつもならパンチを繰り出す司が普通に返事をした事で、圭二がビックリしたような顔になる。
 「なんだよ、司。お前とうとう落ちたワケ?」
 「ま、そういう事だな。」
 問いかけをアッサリ肯定した司に、今まで嫌がってたのはなんなんだよ、と突っ込みを入れようとした圭二だったが、それよりも早く隆章が司を抱きしめた。
 「キス、しにきた。」
 もう殴られないと余裕をかまして顔を近づけた隆章の顔面に、司のパンチが飛んだ。
 「何すんだ、ボケッ!」
 「そ、そんな・・・。」
 殴られた顔面をおさえて隆章が悲しげに司を見ると、司がビシッと圭二を指差した。
 「人がいるだろーがっ。こういう事は別のとこでやれっ。」
 その司のセリフに、側にいた圭二を久々に殺人ビーム視線になった隆章が睨みつけた。
 「どっかいけ。」
 「はいはい。邪魔者は退散します。」
 苦笑した圭二が、2人をおいて立ち去った。
 「あほっ。追い払ってどうす・・・。」
 怒ろうとした司に隆章がキスをした。
 「んっ・・・。」
 そのキスが気持ちよかったため、大目に見てやるかと司が大人しく目を閉じた。
 いい気になった隆章の手が司のシャツをまさぐろうとした瞬間、後ろからどこかへ行ったと思っていた圭二の声がした。
 「お二人さん、そっから先はダメだぞ〜。」
 「うわっ、圭二っ。てめ、離れろっ!」
 驚いた司が反射的に隆章を殴り飛ばすと振りかえった。
 そこにいたのは圭二だけではなく、キャンバスにいたらしき者たちがズラッと並んでいた。
 「あ〜、おしい。もうちょっと見たかったのに。」
 「圭二、お前止めるなよ。」
 「とうとうボクの気持ちに応えてくれなかったんだねっ。赤木くん!」
 「司にかかると「氷の隆章」も形無しだよなあ。」
 「美形が並ぶと絵になるわあ♪」
 好き勝手に言っているギャラリーに向けて、真っ赤になった司が大声で怒鳴った。
 「てめーら散りやがれっ!邪魔すんな〜っ!!」
 司の絶叫にギャラリーが蜘蛛の子を散らすように飛び去った。
 「司・・・。」
 2回も殴られた隆章が、今度こそ邪魔されずにすむかと司を抱きしめた。
 その途端、その手を司がバッと振り払うと、ムチャクチャ不機嫌な顔で怒鳴った。
 「そもそもテメーが余計な事するからだっ。」
 「ご、ごめん・・・。」
 隆章がガックリと肩を落とす。
 昨日、触らせてもらえるようになってからの方が、怒られる回数が増えているような気がする。
 「・・・ったく、しょうがねえなあ。」
 落ち込んでいる隆章に司が苦笑すると、その顔を覗きこんだ。
 「講義終わったら、俺んちこいよ。」
 「え。」
 「昨日の続き、やろうぜ。だから・・・。」
 だからそれまでガマンしろ、と司は言いたかったのだが、昨日の続きという言葉に理性がなくなった隆章が、司にガバッと抱きついた。
 「てめ、人の話聞いてんのかっ。」
 バキッ。隆章の顔面に本日3回目のパンチが入った。
 「この大バカヤローがっ。もう触んなっ。」
 ぷんぷんと肩を怒らせた司が去っていってしまった。
 「あ、司・・・。」
 ボッコボコになった顔を悲しげに歪ませた隆章が、ガクッと肩を落とした。
 全くもって自業自得だが、隆章はこれからも毎日司に顔面パンチを食らう事になるのである。


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